たるをしる、ということ。

「たるをしる」って、ずっとむずかしい言葉だと思ってた。

自分の持っているものに感謝を、って、よく言われるけど。

欲しいものが明確なときほど、「今あるもので十分」と思うことの方が、少し嘘っぽく聞こえる。

でも、ある朝ふと、湯を沸かしているときだった。

使い慣れたケトルの音と、陽の差す台所。 何も新しくないのに、なんだか満たされていた。

この感覚が、「たるをしる」なのかもしれないと思った。

きっと、「足りている」とは、我慢のことじゃない。 比べることをやめて、いま手に触れているものの温度に気づくこと。

それができる日は、少しだけ呼吸が深くなる。

それでも、また欲しくなる日もあるだろう。

でも、忘れたくない。 「満ちる」ということは、いつもすぐそばにある。

あなたにとっての“足りている”って、どんな瞬間だろう。